底地の評価額とは?
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相続コンサルタント会社 ニーズ・プラスコラム担当の野呂です。
地主さんが「底地を整理したい」と考えたとき、底地の売却費用を算出するための基準、つまり底地の適正な評価額を知っておかなければ前に進めません。
また、売却する相手として、真っ先に借地人さんの顔が思い浮かぶでしょう。
今回は、「底地の評価額」と借地人さんの関係について、解説いたします。
国税庁が定めた底地の評価額
底地の評価額を算出するときは、国税庁が定めた相続税評価額(路線価)を使います。更地価格から、相続税評価額(路線価)で定められた借地権割合を引いた額が、底地の評価額となります。
例えば、更地の値段が1,000万円、借地権割合が70%の地域があるとします。この場合、次の式で底地の評価額を算出できます。
1,000万円(更地の値段)×0.3(借地権割合が70%なので残りの30%)=300万円(底地の評価額)
相続税評価額(路線価)は、底地かどうかに関係なく「この土地はいくらで、借地権割合が何%」と定めています。都市部の場合、底地の評価額は底地価格の30%か40%のところがほとんどです。
銀行が判断した底地の評価額
一方、底地かどうかに関係なく、全ての土地を平等に評価する国税庁と異なり、銀行は底地の担保価値を認めていません。つまり、銀行がつけた底地の評価額は実質ゼロ円となるわけです。これには、借地権が深く関わっています。
底地には、借地権の設定された建物が建っています。借地人さんが借地権で使用している底地を、地主さんは自由に使用できません。
また、底地は一般の不動産市場に流通しておらず、底地の状態で売却してもあまり高く売れないという事情があります。
こういった背景から、底地は銀行から担保価値がないと見なされているのです。
底地をもっとも高く評価してくれるのは借地人さん
底地の売却先として考えられるのは、第三者、もしくは借地人さんです。では、どちらが底地を高く評価してくれるでしょうか。
権利関係が複雑で、換金性も低い底地は、不動産市場において購入を敬遠される傾向が強いため、第三者が購入する場合の底地の評価額は低くなります。
一方、底地に家を建てて住んでいる借地人さんは、底地を購入することで、家だけでなく土地も自分のものになるので、大きなメリットがあります。
結果、底地を一番高く評価してくれるのは、借地人さんというわけです。
底地を評価する、不動産鑑定の3つの方式
相続税評価額(路線価)は、国税庁が定めた底地の評価基準ですが、それとは別に、不動産鑑定士が用いる「不動産鑑定評価基準」というものが存在します。
「国税庁が定めた底地の評価額」の段落でもお伝えしたとおり、国税庁は土地の形状や種類に関係なく評価額を算出するため、土地の実態に即した評価額を算出するときは、不動産鑑定基準を用います。
不動産評価基準は、賃料(地代や承諾料など)に関する基準、価格(底地などの土地の値段)に関する基準に大別されます。
このうち、底地を評価する際に用いられる方式は、以下の3つです。不動産鑑定士は、複数の方式を組み合わせ、多様な観点から評価を下します。
原価法
原価法は、建物が建っている敷地において、現在の建物を壊して再度建物を建てたときの費用から、もともと建っていた建物が古くなっている分だけ差し引くことで算出する方式です。居住用の不動産で、一戸建ての家を査定するときに用いられますが、ケースによっては底地も対象になります。
取引事例比較法
底地を売却する際に、底地周辺の取引事例から、売却対象の底地に近い事例をいくつか選んで平均の値段を算出します。この数値に土地の広さを掛け、さらに土地が持つさまざまな条件(道路に接しているかどうかなど)を考慮して査定価格を算出するのが取引事例比較法です。
収益還元法
収益還元法とは、賃料などの収益が、将来どのくらい入ってくるのかを算出した後、その値をもとに現在の底地の価値がどれほどあるのかを求める手法です。この手法は、賃貸用不動産や事業用不動産の価格を求める場合によく利用されます。
不動産鑑定士による鑑定が必要な場合とは
不動産鑑定士が、原価法、取引事例比較法、収益還元法から不動産の価値を表す「不動産鑑定評価基準」を導き出したら、その結果を不動産鑑定書(※)という書類にまとめます。この書類は、底地の場合であれば、地代の増額請求に関する調停や、相続関連の手続きなどで裁判が起きたとき、公的な証拠として効力を発揮します。
上記に加えて、裁判所は、裁判の当事者に対して和解を勧めることもあります。その際、当事者が自ら和解案を作成しようとするとき、和解案の合理性を保証する際にも不動産鑑定書が必要です。
※不動産鑑定書(ふどうさんかんていしょ):不動産鑑定士が、不動産の価値を評価した公的な書類。
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