相続税の「物納」とは

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相続コンサルタント会社 ニーズ・プラスの野呂です。

2015(平成27)年に、政府は相続税法を改正し、基礎控除額を引き下げました。これにより、相続税が増税され、今まで控除範囲内だったため相続税とは無縁だった層からも徴収することになったのです。

相続の対象になったら、当然相続税を納付しなければなりませんが、相続税を現金一括で払えないとき、まずは分割して支払う「延納」の手続きをします。しかし、それでも期限内に支払うことが難しい場合は、金銭以外の相続財産そのものを国に納める「物納」(ぶつのう)という制度を利用します。

今回は相続税の「物納」についてご説明いたします。

相続税の納付期限と方法

相続税は、原則として現金で一括納付します。
被相続人の死亡日、つまり相続する必要があることを知った日の翌日から10ヶ月以内に納付しなければいけません。
2017(平成29)年からは、国税庁長官が委託している業者のサイトから、クレジットカード決済での納付も可能となりました。

相続税の納付方法

1. 現金納付(お住まいの最寄りの税務署または銀行・郵便局などで支払う、またはクレジットカード決済)
2. 現金で納付できない場合で、なにがしかの収入(賃料収入、労務収入等)があり、支払い可能な場合に延納ができる
3. 何らかの事情で現金での納付ができず、賃料や給料のような収入がない場合に物納ができる

※納付方法の優先順位は、1→2→3の順となります。

 

相続税の「物納」とは?

相続税を金銭で納付することが困難で、なおかつ延納もできないとき、相続した財産そのものを現物で納付するのが「物納」です。
ただし、相続税を物納するには厳しい条件があります。また、物納できる財産の範囲も、不動産や国債、株式などに限られています。

物納が認められる条件は、次の通りです。

物納が認められる4つの条件

(1)延納によっても金銭で納付することが困難であり、かつ、その納付が困難な金額を限度としていること。延納によっても金銭で納付することが困難かどうかの判定には、相続でどんな財産を取得したか、また納税者の資産所有状況や収入状況を総合的に勘案する。さらに、近い将来において確実な収入(退職金の給付など)や臨時の支出(事業用資産の購入など)も考慮する。
(2)物納しようとする財産は、納付すべき相続税の計算の基罷となった相続財産のうち日本国内にあるもので、定められた種類のものであること。
第1順位 国債、地方債、不動産、船舶
第2順位 社債、株式、投資信託または貸付信託の受益証券
第3順位 動産
※後順位の財産は、税務署長が特別の事情があると認めた場合および先順位の財産に適当な価額のものがない場合に限って物納にあてることができる。
(3)物納しようとする財産が管理処分不適格財産に該当しないものであること。
(4)物納しようとする相続税の納付期限までに、物納申請書に物納手続関係書類を添付して提出すること。

国税庁HP「No.4214 相続税の物納」より

相続税と「物納」に対する認識

「相続税」と聞くと、こう思う方もいるかもしれません。
「相続税が課税されるくらいの財産をもらうのだから、納税なんて簡単じゃないの?」
底地を持っておくよりも、国に物納したほうが楽だ」

実は、日本人の相続財産の約半分は不動産で、「親や親戚から相続した財産が不動産しかなかった」というケースもあるほどです。被相続人が亡くなったあと、法事や被相続人に関わる諸手続き、遺産分割協議などに追われていると、あっという間に納付期限の10ヶ月を迎えてしまう…なんてことも。

また、何らかの現金収入があったり、現金化できそうな土地や建物などを所有していたりした場合は売り払わなければいけません。そこで得た現金は、生活維持のための費用を除いて全て延納にあてなくてはいけないのです。

「相続税の物納は、すんなり認められるわけではない」

このことを、よく覚えておきましょう。

計画的な相続税納税のために

相続税を物納することが認められても、延滞金にあたる「延滞税」や金融ローンの利子にあたる「利子税」も別途発生します。これらの税金は金銭のみの納税となり、物納で支払うことはできません。つまり、物納が認められても、ある程度の現金も確保しておかなければいけないのです。

物納はもちろん、延納という方法を取らなくて済むよう、不動産を売却するなどの事前対策を立てておきましょう。

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