借地借家法(新法)について
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相続コンサルタント会社ニーズ・プラス コラム担当の野呂です。
土地を貸す人(地主さん)・借りる人(借地人さん)の権利を定めた法律、借地借家法(しゃくちしゃっかほう)。
それぞれ独立した形で制定されていた「借地法」と「借家法」を統合させたもので、地主さんの権利強化を図ることを目的として定められました。
今回は、地主さんと借地人さんが最低限知っておきたい借地借家法のポイントをまとめました。
借地借家法(新法)とはどんな法律なのか
借地借家法は、1991(平成4)年に公布された民法の特別法で、建物所有を目的とした借地権の存続期間などについて定めた法律です。地主さんと比べて立場が弱くなりがちな借地人さんを保護するという旧来からのスタンスを保ちながら、地主さん側にも配慮した内容となっています。
借地借家法(新法)では以下の権利について、条文の中で謳っています。
借地借家法(新法)の3つの大きなポイント
1.一定期間を過ぎたら、地主さんに土地が戻る(第3条)
借地借家法(新法)の最も特徴的なポイントは、貸借(たいしゃく)期間を限定し、契約期限が過ぎたら地主さんに確実に土地が返ってくる権利を保障したことにあります。これが「定期借地権」(略して定借)です。定期借地権には一般定期借地権、事業用定期借地権、建物譲渡特約付借地権の3種類があります。
2.借地権の存続期間の短縮(第3条)
1991(平成4)年以降に契約を結ぶ場合、借地権の存続期間を一律30年としています。また、契約を更新する場合には、1回目の更新が20年、2回目以降は10年(第4条)となっていますが、地主さんと借地人さんが協議することで、存続期間を長くすることが可能です。
3.立退きを要求する際の「正当事由」の明文化(第6条)
地主さんが借地人さんとの間に交わした土地賃貸借契約を更新せず、立退きを求めたいとき、「正当事由」が必要であると定められています。これは旧借地法でも同じですが、旧借地法では、「地主さんが土地を使う必要がある場合」としていました。新法では、「地主さんが土地を利用する正当な事由がある場合や、借地の利用状況」など、正当事由の内容を明文化しています。
借地借家法 旧法と新法の違い
借地法、借家法(旧法)
旧法は、借地人さんが借地の上に家を建てて住み続けることを保障したものです。借地権の存続期間を考えるときは、堅固建物(⽯造、⼟造、レンガ造、コンクリート造、ブロック造等)の場合と⾮堅固建物(木造等)の場合に分けます。
堅固建物の場合、借地権の存続期間は地主さんと借地人さんの間で取り決めがなければ60年、更新後は30年です。
一方非堅固建物の場合、借地権の存続期間は30年、更新後は20年です。
ただし、契約期間中に建物が朽廃(きゅうはい)すると、借地権は消滅します。
※朽廃……長い年月を経て住むに耐えられないほど建物が傷んでしまった状態を指します。具体的には、屋根が抜けている、壁がボロボロになっているなどの状態です。
借地借家法(新法)
新法では借地権の存続期間を、堅固建物と⾮堅固建物に分けず、⼀律で30年と定めています。
また「定期借地権」を創設し、「一度土地を貸したら二度と返ってこない」という地主さんの不安にも応えたものになりました。
旧法から新法への切り替えは可能か?
地主さんにとって、定期借地権を定めた新法の方が利点があります。
しかし、新法が適用されるのは新法になってから貸借契約を結んだ場合のみです。旧法の施行期間中に貸借契約を結んだ場合、更新時期が来ても新法への切り替えはできません。
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