<遺言のすすめ>基本とその種類

相続コンサルタント会社ニーズ・プラス コラム編集部です。
遺言は、被相続人(故人)がの築き上げてきた財産を死後どのように活用するのか、生前に「書面で意思表示」をするためのものです。また、相続人(財産を受け継ぐ側)が複数いる場合は、被相続人の意思が尊重されるため、相続を円滑に進められるといった利点があります。
今回は、遺言についての基本的な内容とその種類をご紹介します。

遺言

遺言ってどんなもの?

強い効力がある財産分割についての契約書

遺言とは、自身の築き上げた財産が希望通り相続されるよう、生前に意思表示する書類です。遺言は、法律上で効力が非常に重く位置付けられています。
民法では、遺産分割時にそれぞれの相続人がどれだけの遺産を受け継ぐかについて「法定相続分」が定められています。しかし、遺言に記された内容は、法定相続分よりも優先されます。(ただし、相続人以外に全財産を譲るという遺言を残したとしても、相続人には最低限の取り分である「遺留分」を受け取る権利が与えられています。)

遺産分割協議が必要なくなる

遺言があれば、相続人の負担を大幅に軽減できます。相続は突然発生し、家族は悲しみのなかで葬儀の準備や後片付けに追われます。そのような状況で遺産分割協議を行うのは、家族にとって心身ともに大きな負担になります。また遺言書がない場合、相続人同士で話がまとまらなければ、裁判所に調停を求める事態にまで発展してしまいます。そういったトラブルを回避するため、遺言書は役立ちます。

遺書との違い

亡くなるにあたって、故人が想いやメッセージを記したものが「遺書」です。「遺書」は自由な形式で記述されており、法的拘束力がないという点で、遺言とは異なります。
とはいえ遺言も、法律で定められた方式に従って作成しなければ、その効力を発揮できません。

遺言の2つの方式

遺言には「普通方式」と「特別方式」の2つがあり、一般的に作成される遺言のほとんどが「普通方式」です。「特別方式」は、「普通方式」での遺言が困難だと認められた状況下でのみ許可されているもので、海での遭難時や、伝染病のため隔離された時、緊急に死期が迫っている時など、作成には一定の条件があります。

普通方式の遺言は3種類

ここでは一般に選択されることの多い「普通方式」の遺言についてご紹介します。

1.自筆証書遺言

遺言を残そうとしている人が手書きで作成した遺言のことです。自筆証書遺言を法律上有効にするためには、作成年月日が明記され、署名捺印されている必要があります。証人が不要なので1人でも手軽に作成でき、内容を誰にも知られずに済むという利点があります。
一方、誰にもチェックしてもらえないため、書類の様式に不備が生じやすく、相続開始後に遺言自体が無効と判断されてしまうリスクもあります。自宅で保管するため、紛失や相続時に遺言が発見されないという事態も起こりえます。

2.公正証書遺言

公正証書遺言は、法律の専門家である公証人の面前で遺言を述べ、公証人に作成してもらう遺言です。「遺言を残そうとしている人」が「証人2人(※)」と共に公証役場に出向く必要があります。
公正証書遺言は、原本が公証役場に保管されるので、紛失や偽造の心配がありません。有効な遺言を確実に残せる方法ですが、証人が必要なため、遺言を作成したことやその内容が、証人である第三者に知られてしまいます。
※相続が発生した際に相続人となる見込みのある人や、4親頭以内の親族は証人になれません。

3.秘密証書遺言

秘密証言遺言では、遺言を作成する本人が署名捺印した遺言書を封筒に入れ、証書に押印した印鑑と同じものを使用して封印します。封をしたものを公証役場で「公証人」「証人2人」の前に提出して、自分が作成した遺言であることの証明を受けます。
遺言の内容を第三者に知られることなく、遺言を作成したという記録を公証役場に残せます。ただし、遺言の中身を公証人が確認することもないため、自筆証書遺言と同じく、無効な遺言が作成されてしまう可能性があります。

遺言を正しく理解して自分にあった選択を

遺言と一言で言っても、種類が複数存在します。それぞれ意味や決まりがあり、メリット・デメリットも存在します。遺言の必要性やそれぞれの意味を理解したうえで作成しましょう。
遺言の種類に違いはあれど、適切に作成・保管されていれば、どれを選んだとしても効力に違いはありません。遺言は配偶者や子供達へのギフトです。円満な相続ができるよう、少しでも財産のある人は、元気なうちに遺言を作成することを強くおすすめします。

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